高校1年生のクラスに「王様」なる謎の存在からメールが届き、最初はキスしろという命令からはじまって人間の尊厳を奪うようなものになり、命令に従わなかった場合は恐ろしい罰を受けることに。
命令は主人公ともいえる金沢伸明の罪悪感を徹底して問いただすものばかりで、作者の作為をちょっと感じてもしまった。
序盤は陰惨すぎるエピソード連続にめまいを起こしかけたものの、主人公の前向きな行動力で気分が幾分持ち直した。
死を回避するためにクラス内での覇権争いが起こって、それぞれ派閥を作ったり、人心をいかにつかむかという心理戦が行われ、その人間模様は自分的に好み。
異常な状況を冷静に分析する無表情な岩村莉愛(いわむらりあ)の存在もチートっぽくて魅力を感じたし、ほとんど会話文で読みやすいのもあって、久々に夢中になって集中して読めた。
うまいとはいえない文章描写や警察の不可思議な捜査方法、自分の子供が死んだのになぜか平然としている親が出てきたりして首をかしげることしばしだったけど、そこはスルーした。最後のほうで物語に理屈をつけようとして、かなり無理くりなご都合展開になったのは残念だったか。