ネクラ少女は黒魔法で恋をする(1)

ネクラ少女は黒魔法で恋をする(1)」熊谷雅人 イラスト・えれっと(MF文庫J2006年)

 内弁慶で内心では毒舌饒舌で妄想する空口真帆の語りが愉快だったのに、悪魔を召喚して可愛くしてもらったら、気になる演劇部の先輩と急接近して交流したり、先輩の想い人と邂逅してのしんみりした展開になったりで、最初の語りはどうしたオイという感じで、ただの恋する乙女になっただけじゃねーかと。最後がデウスエクスマキ的に終わってる。もっとドタバタっぽいものにすれば長続きしただろうに。惜しい。

 妹の夏樹とのやりとりが微笑ましいし、メスゴリラと呼ばれてるけどイラストではかわいい大河内裕とそれなりに仲良くなって雰囲気はいい。豪農っぷりがすごい弓ヶ浜三癒とか、独特のキャラをそこそこ配置しているわりに特徴をいかしきれておらずもったいない。

 召喚した悪魔も名無し状態で、なんとかならなかったのかな。最後が青春物語テイストになった。これはこれでいいのだろうけど、続かないだろうと。

 それと真帆のこれまでの黒魔法遍歴がまるでなく、今さっき思いついたという感が否めない。