貧乏人大反乱

「貧乏人大反乱―生きにくい世の中と楽しく闘う方法」松本哉(アスペクト2008年)

 以前読んだことのある「貧乏人の逆襲!増補版」と大体同じ内容で、今回はデモなどの活動を中心に構成していある。

 法政大学での貧乏人決起集会やら総長のいる集会にペンキを持って殴りこみにいったりとか、社会に出るようになったら、自転車を勝手に撤去するなというデモ活動をしたり、リサイクル業を営んでいることからPSE法に反対するなど、くだらないことから大真面目なことまでをデモしてみせる。

 警察にいってデモの申請をしていかに許可をもらうかを考えて、3人だけのデモで警察に肩透かしをくらわせるなど、前の著作と同じく行動力があるなと思う反面、タバコのポイ捨て規制や監視カメラに敵意を燃やして撤去しろという考えをもっていながらも、ゴミを平然とすてる行為に関しての言及はまるでないのが気になる。

 どうもこの人は体制からあれこれ勝手に指図されることには異様なまでの反発心を抱くだけにとどまっていて、常に大勢の仲間と一体感を持っていたいという性格がうかがえる。

 著者が経営するリサイクルショップに関しては、経営術といったノウハウなどはまるで考えている様子がなく、店で働く従業員が結婚して子供をもうけたりして、彼らの将来に対して責任を感じて気が重いと正直に語ってもいて、それでいながらも、著者にとっての行政からの理不尽な対応には社会人になっても卒業するのは断じて断るという信念を持っていて、経営者向きではないとつくづく感じた。

 ひとことで言うならば、めんどくさい人。この人と友達づきあいができたら面白おかしい体験はできるだろうけど、このタイプの社長のいる会社は将来を考えるなら避けるべきだとも思うのであった。