銀河乞食軍団 黎明編 4 誕生!〈星海企業〉

「銀河乞食軍団 黎明編 4 誕生!〈星海企業〉」鷹見一幸(ハヤカワ文庫2010年)

 黎明編の4巻の前半までは、蒼橋義勇軍の播磨屋源治だったり音羽屋忠信や御隠居たちの活躍が描かれていながら、事態が収束して以後になると宇宙連邦軍のムックホッファ元中将に焦点が移り、いかにして星海企業をたちあげることになったのか、また腐敗した軍部との交渉などになる。

 これまで活躍していた蒼橋義勇軍の面々が姿を消してのムックホッファの台頭には、読んでいてて「あれれ?」という気持ちになったし、それぞれの政治的な話もどこか釈然としなかった。自分としてはロイスや播磨屋源治や成田屋甚平に滝乃屋昇介たちのその後がどうなったのかのほうがはるかに気になっているのだ。

 このあたりは野田昌宏による本編の「銀河乞食軍団」を読めばすっきりするのやもしれない。

 それにしても、それぞれの人物の日常エピソードがまるでないので、感情移入しづらいことこの上なかったというか、もう少し巻数を増やしても良かったのではと思わないでもない。

 宇宙での作業艇の動力がアイスと呼ばれる推進剤を使用していることや、マイクロ波送信アンテナによる電力供給のフレアの描写に、埃が赤外線に変わるというくだりはゾクゾクするものがあった。