コレキヨの恋文

コレキヨの恋文 新米女性首相が高橋是清に国民経済を学んだら」三橋貴明 執筆協力・さかき漣(小学館2012年)

 ベストセラーになった「もしドラ」っぽいタイトルだけど、内容は政府によるガチ経済小説で、読むのはしんどそうかと思ってたら、なにこれ、すごく読みやすい。お金の流れや込み入ったデフレ経済の解説はちょっと頭を使うけど、ほとんどサクサク読める。

 物語のほうは、30代半ばの女性弁護士のさくら子が、人気取りの名目でまんまと女性総理大臣になるという流れ。ここはご都合主義に感じたし、初年度の任期期間中に経済についてなにも学んでいないのはどうかという疑問はあるものの、かつての空景気(バブル)がはじけてデフレに陥った過去の日本経済があり、それをたてなおした高橋是清と時空を超えての奇跡の出会いをしたさくら子が、高橋是清から懇切丁寧にデフレ経済の仕組み、赤字国債と公共投資は決して悪いことではないことなどを学びつつ、TPP(環太平洋連携協定)の恐ろしさまでを解説してくれる。

 この内容が果たしてどのくらい信ぴょう性があるのかどうかは、他の否定派や肯定派などの意見をしっかり見極める必要があるのはたしかだけど、相当にわかりやすい。

 昭和初期の頃の内閣の状況に、最後は226事件勃発による高橋是清の最期などがあってしんみりとした余韻のまま、明るい日本が見えてくる希望に満ち溢れた展開は感動した。