成功する人は缶コーヒーを飲まない

「成功する人は缶コーヒーを飲まない 「すべてがうまく回りだす」黄金の食習慣」姫野友美(講談社プラスアルファ新書2011年)

 普段の悪い食習慣を見なおして、体調を万全にしよう。ついでに食習慣とはまったく関係のない女性上司と女性部下との付き合い方も指南してくれる。

 コーヒーを常用すると、一緒に含まれている砂糖によって血糖値が乱高下し、やがては低血糖症になり、普段からイライラしたりうつ病になったりするリスクがあるという。

 砂糖や米に穀類やラーメンはさけよう、卵や肉を食べよう。要するにそんな内容なんだけど、引用や統計データなどをもとに、体内での化学変化メカニズムを詳細に書いてて、まるで論文を読んでいる気分になる。

『缶コーヒーに限らず、菓子パン、和菓子やケーキなどのスイーツ、スナック菓子、せんべい、白米、ラーメン、うどんなど精製された糖質の摂りすぎは、血糖値を急激に上昇させ、膵臓からインスリンを分泌して血糖値を下げるように働く。このとき眠気や倦怠感が起きるわけだが、急激に血糖値が下がると脳にブドウ糖が供給されなくなるため、脳は緊急事態と判断して慌てて血糖値を上げようとする。そこで脳内では、血糖値を上げるホルモンのアドレナリン、ノルアドレナリンを分泌して血糖値を上げようとする。本来ならば安定供給されるはずのブドウ糖の供給が不安定になるため、糖を摂っていても脳でエネルギーとして利用されないという不思議な現象が起きてしまう。』

 うーん、自分には読むのがしんどかった。

 それ以外では、たとえば野菜ジュースは期待されている成分の摂取は絶望的であって、糖尿病になるリスクを高めるだけとか、昔ばなしの桃太郎とかぐや姫の性格を栄養学の観点から判断するコラムは興味深かった。

 ただ、デスクワークをしている社会人にはこの改善方法は可能かもしれないけど、重労働な肉体労働に従事している人にはどうなんだろうかという疑問もなくはない。

 それからほんのちょっと気になったんだけど、「炭水化物」というワードの使用をさけているのか、図版で1回使っているのを見たぐらい。著者はなにか思うところでもあるのあろうか。

 全体に食生活の改善方法をあまりにも断言・強要していて、それが一種の信仰心みたいな思想主義と酷似してしまい、こういうのはよほどうまくやる必要があると痛感した。