アリス・リローデッド (2) ヘヴィ・ウェイト

「アリス・リローデッド (2) ヘヴィ・ウェイト」茜屋まつり イラスト・蒲焼鰻(電撃文庫2013年)

 1巻は魔女ゾォードの破滅魔法を阻止する話。で、この2巻はロッキーことロクサーヌ・ラヴォワ(ショットガン使いの少女)の死を回避する話。なんだけど、やっぱりエクスキューズのない唐突な過去回想には混乱してしまう。

 人格を持った銃のマグナムは、アリスを含めた仲間が全員死ぬという体験を一度しており、それを過去に戻されての歴史改変を実行中で、本来の歴史とは違ったもうひとつの未来(セカンドフューチャー)を幻視するようになる。

 でも、やっぱり相変わらずの感情移入しづらいメインキャラクターたち。ロッキーの家庭事情で感動話があるんだけど、これが定番ネタというか、既存すぎるというか消化試合的で淡々と感じてしまった。どうしたいんだこれわ。

 むしろ超距離狙撃手の敵であるロックフェリーのほうがキャラが立ってるし、この人物は殺される運命にあるんだけど、やむにやまれぬ事情があってのやらされていたことで、殺さないでほしいと内心で思っている自分がいた。しかし、ここにきて殺人をためらう描写をいれてくるとは思わなかったぜ。

 読了後に時系列を確認するためにザッと再読したんだけど、最初の80ページぐらいに伏線をぎゅうぎゅう詰め込んでて、あれこれ込み入った構成をしているんだけど、これはしんどすぎるかと。すべての伏線が回収されて収束する場面では、それなりの驚きを感じて感嘆をもらしたんだけど、うまくいってない、もったいない。

 独特の翻訳ルビはけっこう気に入ってるんだけど、ネット感想を読んでるとダサイとか萎えるとか散々な言われようで、あれれと思った。そんなに悪くないと思うんだけどなあ。