小飼弾の「仕組み」進化論

「小飼弾の「仕組み」進化論」小飼弾(日本実業出版社2009年)

 オンザエッヂというIT関連会社で技術責任者を務めていたこともある著者による「仕組み」の話。

 著者が会社で実行した保守点検の対策方法やコスト削減に作業効率アップなどの体験話は具体的で面白い。でも、この話題はシステム開発をしている部署限定だし、全体に中間管理職以上の経営者向けで、平社員向けのライフハック的なネタはほどんどないのでご用心。

 最初はものすごく読みやすいと思ったものの、それにしては妙に感動しないというか、同じ作業を100回繰り返すというプログラム的思考の説明は個人的に好きな話題ということもあって調子よく読んでいたんだけど、こう、妙に抽象的というか、「仕組み」という言葉から連想されることをあれやこれやと列挙されてはいるんだけど、それが読んでいる自分にはあまり役に立たないというか。

 作業記録は全部残して車輪の再発明をさけようとか、みんなの進捗状況をメーリングリストで開示して、問題を抱えこまずに助けあう伝達方法とかはなるほどと思いつつも、この本は一体なにを語っていたのだろうと、読み終わった直後から曖昧模糊としたぼんやり状態で、どうも首をかしげている。

 こういった分野を自分自身がほとんど考えたことがなくて意見がない状態だからだろうか。なんともモヤモヤした読後感である。