クルマを捨てて歩く!

 ウォーキングをして健康になろう的な内容かと思ったら、クルマがいかに害悪であるかを維持費や道路の整備費用、恐ろしい道具であること、北海道での異常なまでのクルマ依存などから導き、著者自身はほとんどを歩きかバスを活用。最初はクルマを使わない日常が、いかに健康的で経済的であるかを統計データなどを若干都合のいいように解釈している部分もあるなか、著者の語りがどんどん熱を帯びてきて、途中からはバス車内でのマナーを皮切りに、道徳やモラルを遵守せよと説教モード。弱者が安全に過ごすためのクルマ対策の具体的な対策方法や、横断歩道に進入できない遮断機の提案もする。

 著者のあまりもの聖者ぶりに少々立ちくらみを覚える部分もありながらも、モータリゼーション(車社会)が日本の経済の大きな柱になっている事実には目を向けない部分もあり、すべてを鵜呑みにはできないけど、タバコを拒絶しているのになぜ排気ガスは許容できるのかという疑問は読者である自分も共感する部分もあるのだけど、現状で原付に乗りつつクルマがあれば便利なときもあると思う自分もいて、自分の中で葛藤状態でもある。