雪の翼のフリージア

「雨の日のアイリス」と同じ作者さんの本。翼で空を飛ぶことができる有翼人のいるファンタジー。

 ヒロインであるフリージアはそこそこの貴族だったけど、父親が反逆罪に問われて家が没落。再起を願ってグランルーラという飛行レースに出場するけど、右の翼を失うというアクシデントに見舞われる。

 物語は、どん底状態のフリージアが再度、レースに挑戦すべく義翼職人のガレットのもとを訪れるところからはじまる。

 最初こそはツンケンした態度を取っていたフリージアだったけど、根は素直で弱音を吐かず、なにごとにも頑張り屋さんという姿が読んでいて清々しい。

 話は、ヒロインのフリージアと、義翼職人ガレットの視点を交互に切りかえて進んでいくんだけど、フリージアだけにしても良かったんじゃないのかなと思わないでもない。

 二人の内面描写にしたためか、展開がはやく、最後はどうなるのかなと思いながら読み終えた。

 空を舞台にしたファンタジーということでそれなりに設定が作り込んであっていいんだけど、世界観をもっと濃密に描いてもよかったのではないかと思いつつも、この作者さんは論理的な設定が苦手な気がするので、そこは避けて正解だったのやもしれない。

 と思いつつも、今回は「雨の日のアイリス」に比べるとそれほど悲壮感もなく、小さくこじんまりとした感は否めず。この作者さんの武器は恐ろしいまでの残酷さと、そこからなんとか死に物狂いで這い上がろうとするところだと思うので、そこをもっと磨いた作品を希望したい。グロリアの嫌味なまでの金持ちぶりをみせつけておきつつも、実はというところはギャップ萌え。

 あと、ヒロインのフリージアが設定の都合上、それなりのスタイルで巨乳で、裸になるとか乳房が揺れたり揉まれたりとかは、読んでて顔がにやけてしまうサービスシーンでした。

 ガレット、ドライすぎるだろ。