ネクラ少女は黒魔法で恋をする(4)

「ネクラ少女は黒魔法で恋をする(4)」熊谷雅人(MF文庫J2007年)

 4つの短編集。主人公の空口真帆の妹・夏樹が、彼氏とうまくいってない話。この短編は妹の夏樹が語る形式で、黒魔法に傾倒している姉の真帆を身近な第三者から見た視点というのが新鮮で、その真帆の行動とかがかわいらしいというか、妹との関係であれこれあってホッコリする話。

 ほかには、凄腕格闘家で美人の雛裏しのが痴漢騒ぎに巻き込まれる話と、四人兄弟の長男でいつもドジ役をやらされている三年生の湊川容一が、どう見ても小中学生にしか見えない弓ヶ浜三癒を意識する話、そして、演劇部の合宿で豪華な別荘にいき、空口真帆が憧れの一之瀬先輩と急接近したのかしなかったのかという話。

 その一之瀬先輩なんだけど、優等生らしいのはわかるんだけど、それほど行動力というかリーダシップを発揮するようなところもなく、すごく堅物というか融通のきかないところがあって、すごく無個性な人物としか感じられず、まるで魅力を感じないんだけど、こういう人物が女性は好みなんだろうか。

 うーん、仮に真帆と一之瀬先輩の性別を逆転させたとして、美人で優等生で生真面目な先輩がいたら、憧れはするだろうし付き合ってみたいとは思うか。