俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長

「俺と彼女が魔王と勇者で生徒会長」哀川譲 イラスト・H2SO4(電撃文庫2010年)

 盗作騒動で回収騒ぎを起こしたんだったかの問題作。

 平々凡々な主人公の兎沢紅太郎(とざわこうたろう)は、容姿端麗で成績優秀で身体能力(略)な超絶美少女の伏城野(ふしぎの)アリスと幼なじみで、アリスに積極的にアプローチされる毎日を過ごしていたところ、魔王生徒会の会長候補として祭り上げられ、対立候補の勇者生徒会に正体を暴かれなければ次年度の生徒会長になる、という設定。

 人間と人外が共存しているという特異な設定があるんだけど、人外が社会に与えている影響とかそういう描写は一切なしで、お互いに憎みあう関係になっており、主人公の通う学校はモデルケースとして共同の学校に通っているという冷静に考えると無茶な設定だけど、そこは敢えて目をつぶる!

 平々凡々と言っているわりに目隠し将棋というのか、頭のなかに将棋盤をイメージし将棋勝負するのは得意で、アリスに勝てる唯一の特技を持っていたり、かよわい人外が人間の不良にイジメられていて、それをやめさせて解決させたりとかなりいい奴。

 主人公は現在2年生で、これまでそういったイジメの場面ではどうしてたんだよとか、幼稚園児の頃からも人外たちと一緒だったらしいけどどうしてたんだよとか、そこは敢えて目をつぶる!

 小気味よくテンポのいいやり取りとか、ツンツンしている吸血鬼少女にプロポーズ同然のことを言って勘違いされたり、いつのまにか人外女子たちのハーレムが出来上がっていたりと定番ながらも楽しい面白い。

 ヒロインで対立する勇者候補のアリスも、天然ではるけれど正義感にあつく、素直で主人公に一途で過剰なアピールをしてきて、なぜかそれをさけまくる主人公。アリスが主人公のどこにひかれたのかもそれなりに設定されていて、これが勇者アリスと主人公のやりたかったことと合致してうまくまとまっていた。